神社仏閣で見かける懸魚とは?3つの役割について詳しく解説

神社仏閣で見かける懸魚とは?3つの役割について詳しく解説

古い神社仏閣では懸魚と呼ばれる飾り板を見かけることがあります。懸魚という言葉は聞いたことがあるかもしれません。しかし役割や種類については、知らないという方もいるのではないでしょうか。懸魚には飾りとしてだけではなく、建物を守るという意味が含まれています。

そこで今回の記事では、懸魚の歴史や役割について見ていきましょう。

懸魚とは

神社仏閣の中には、屋根の下に装飾が施されています。一般的に懸魚は、屋根の下に取り付けられた飾りのことです。ここでは懸魚が取り付けられている場所や、破風との違いについて見ていきましょう。

屋根の左右に取り付けられている

懸魚とは「げぎょ」と読みます。「けぎょ」や「けんきょ」とも呼ばれることがあります。神社仏閣などの歴史的建造物では、屋根の左右に取り付けられているのです。建物の構造上、社殿を横から見た状態では懸魚の存在を確認できません。多くの神社仏閣に取り付けられているものの、気付かないという方もいることでしょう。

破風との違い

破風とは屋根の妻側の、端の部分を指しています。また破風に取り付けられている板のことを、破風板とよんでいます。懸魚は破風の内側に取り付ける装飾品のことです。

破風板には雨水の浸入を防ぐという役割があります。屋根は上から降る雨には強いものの、横から降る雨には対応できません。破風板を屋根の妻側に取り付けることで、横からの雨水の浸入を防げるのです。

懸魚の歴史

懸魚の発祥は中国と言われています。古代の中国では、仏教建築に魚の形に彫刻した板が取り付けられています。雲南省には魚の胴体や尾ひれをかたどった、板を取り付ける風習が残っているのです。懸魚の原型とも言われています。

日本に伝わった正確な時期については、定かではありません。一般的には仏教が伝来したとき、一緒に伝わったと考えられています。ただし鎌倉時代以前の建築物については、懸魚の装飾が見られません。懸魚は神社仏閣に取り付けられていた装飾品なものの、武家屋敷にも取り付けられるようになりました。

懸魚の役割

懸魚には大きく分けると、3つの役割を持っています。ここではそれぞれの役割について詳しく見ていきましょう。

建築構造における懸魚の役割

ひとつ目の役割は建物を保護することです。屋根には雨風から守るという役割があります。四方を屋根で覆っている建造物なら安心なものの、神社仏閣などでは屋根がついていない部分もあります。雨の角度によっては、破風などに雨水が浸入する恐れもあるのです。

懸魚を取り付けると、建物内への雨水の浸入を防げます。屋根や建物を支える木材の腐食を防げるのです。

装飾における懸魚の役割

ふたつ目の役割は装飾です。懸魚にはさまざまなデザインがあり、個性を感じられます。破風の中には端部に装飾を施した、唐破風などのおしゃれなデザインがあります。懸魚と組み合わせることで、モダンな印象を与えられるのです。

お守りとしての役割

3つ目の役割はまじないとなります。もともと懸魚は魚の形をした装飾が施されていました。水と関わりのある魚には「水をかける」という意味があります。火災から守るという願いが込められていたのです。

押さえておきたい懸魚の種類

懸魚にはさまざまな種類があります。ここでは代表的な懸魚について見ていきましょう。

猪目懸魚

猪目とはハートの形をしたデザインのことで、日本古来の文様として親しまれてきました。魔よけの役割があり、さまざまな建築物に施されています。見る方向によってはイノシシの頭や目に見えることから、猪目懸魚と呼ばれています。

梅鉢懸魚

梅鉢とは梅の花を正面から見たデザインのことで、日本では猪目と同じように文様として用いられてきました。一般的に梅鉢紋は五角形のデザインとなっているものの、梅鉢懸魚は六角形のデザインです。歴史的建造物の中には、梅鉢懸魚を利用している建物があります。

蕪懸魚

蕪懸魚は「かぶらげぎょ」と読みます。野菜のカブのような形に似ているのが、名称の由来です。細くくびれた形をしており、渦巻きのような装飾を施しているのが特徴です。

三花懸魚

三花懸魚は「みつばなげぎょ」と読みます。猪目や蕪などの3種類のデザインをひとつに組み合わせた図柄のことです。

貝頭懸魚

貝頭懸魚とは「かいがしらげぎょ」と読みます。輪郭が貝のようなデザインになっているため、貝頭懸魚と呼ばれているのです。貝頭のデザインは江戸時代の前期に登場したもので、神社などで見られます。

まとめ

神社仏閣の中には、懸魚の装飾を施している建物があります。建物によってデザインが異なっており、芸術作品として一面も持っているのです。神社仏閣を巡るときには、懸魚の鑑賞をおすすめします。

「有限会社伊川彫刻店」では、日本の伝統技術を生かした彫刻の販売をしております。五月人形・雛人形・神棚、新型コロナ対策グッズなど、魅力的なデザインの商品を丁寧に制作するのが弊社の強みです。オーダーメイドによる制作も承っており、木の質感や温かみを感じられる商品を提供しています。彫刻店をお探しの方は、ぜひとも「有限会社伊川彫刻店」にお問い合わせください。

 

ページ上部へ